■各メーカーのワクチンに関しての情報
現在、インド変異株(デルタ株)が世界を席巻しています。来日したオリンピックの選手もデルタ株感染であり、東京でも近いうちに100%近くデルタ株またはデルタ株+に置き換わると思われます。
デルタ株の一番の問題点は新型コロナウイルスの周囲を覆うスパイクタンパク質にいくつも変異をおこし、これらのせいで、既存の抗体の一部が以前ほど強く結合できなくなったり、結合回数が減ります。
つまり、過去の感染やワクチン接種によって生成された抗体を回避することで、ワクチンや現在使用されている薬の効果を下げてしまうことです。
さらに変異が進むことで、よりワクチンを改良しなければ対応できないことです。
また、6月14日付けで医学誌「The Lancet」に発表された論文では、スコットランドにおいて、デルタ株による入院のリスクは、すでに重症化しやすかったアルファ株の約2倍であると報告されました。
「より伝播しやすく、重症化もしやすくて、ワクチンを逃れるという3つの要素が組み合わさったデルタ株は非常に危険」であり、今後注意していかなくてはいけません。
5月24日付けで「bioRxiv」に発表された現在査読中の別に研究では、ファイザー社のワクチンは2回接種後、発症予防効果についてアルファ株では93%の有効率を示したが、デルタ株の場合は88%。アストラゼネカ社のワクチンは、2回の接種でアルファ株に対して66%の有効率があったのに対し、デルタ株では60%でした。
比較的有効性の高いファイザーのワクチンを目蒲病院、メカマクリニックでは行っていますが、国に安定的なワクチン供給をお願いしたいですが、報道でもあるように9月以降の供給が自治体によって不安定になります。
ワクチン希望者は早めに予約をお願いします。
ファイザー製ワクチン:mRAワクチン
★ファイザー製のワクチンに関する報告が厚生労働省より3月26日発表がありました。
3月21日までに国内で57万8835回接種され、医療機関から重いアレルギー反応の「アナフィラキシー」の疑い例として181例の報告があったと公表。
国際的な基準でこのうち47例がアナフィラキシーに該当したが、全員軽快したとした。ワクチンの安全性について引き続き「重大な懸念は認められない」と評価した。
3月21日までのアナフィラキシーの発生頻度は100万回あたり81例。接種者数や対象者の属性が異なるため国際比較は難しいが、米英より高い傾向にある。
男女別では世界的に女性の発生頻度が高いが、今回の報告でもアナフィラキシーのうち女性が44例と9割を超えたと報告。
★ファイザー製のワクチンの効果に関して
英オックスフォード大学などが行った調査から、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの1回の接種で99%の人が強い免疫反応を示し、実際の感染で産生される免疫と同様の効果を得られる可能性があることが分かった。
英保健当局も2月、ファイザー製ワクチンの初回接種で医療従事者らのコロナ感染が約70%減少したほか、高齢者の入院や死亡も75%強低減したと発表していた。
さらに調査では、過去に新型コロナに感染した人への接種では未感染の人よりも高い反応がみられ、変異株に対し予防効果がある可能性も示されたと報告。
★変異株に対する有効性はイギリス型変異株には85%(2021/2/22英政府発表)、南アフリカ型変異株には100%(2021/4/1)と変異株にも高い有効性が示されています。
★米製薬大手ファイザーと新型コロナウイルスワクチンを共同開発した独バイオ医薬品企業ビオンテックのシャヒン最高経営責任者(CEO)は4月28日、インドで広がっている新型コロナ変異株にも、「30種以上の変異株を調べたが、ほぼ全てでワクチンは同じように効く」と強調し発言。インド変異株は、以前ワクチンが効くことを確認した種類のものだと語った。
アストラゼネカ製ワクチン:アデノウイルスベクターワクチン
●アストラゼネカのワクチンに関して
血栓症の報告があり、欧州各国を中心に一旦中止するという報道がありました。4月3日英国で、英製薬大手アストラゼネカ(AstraZeneca)製の新型コロナウイルスワクチン接種を受けた1800万人以上のうち、希少な血栓症を発症したのは30人だったことが、医薬品・医療製品規制庁(MHRA)の発表により明らかになった。MHRAは同社製ワクチンについて、「効果は依然としてリスクを上回る」とし、接種継続を呼び掛けています。別のアストラゼネカの発表によると、米国で3万人余りを対象に行った治験の結果、血栓のリスク増加は見られなかった。参加者全体の重症化と入院の予防効果は100%、発症予防効果は79%、高齢者の発症予防効果は80%だったとあり、効果は非常に高いものとされています。
医学誌「ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」は4月10日までに、イギリスの製薬大手・アストラゼネカなどが開発したワクチンについて調査した2つの研究チームの論文を、それぞれ掲載しました。いづれも血液を固めて傷口を塞ぐ「血小板」の働きを高める抗体が、全員増えていたということです。
現在、欧州の各国、香港、フィリピンなどでは若年層での接種は中止しているなど、対応が分かれているのが現状です。
日本では1億2千万回分を調達予定。
日本では5月21日に薬事承認されました。
アストラゼネカのワクチンについては、有効性が認められる一方で、接種後、極めてまれに血栓が生じるリスクがあると指摘されていることから、現時点で予防接種法の対象にせず、当面、公的な接種には使わない方針を示しました。
★変異型に対する有効性ですが、イギリス変異株の予防効果が74.6%。南アフリカ変異株の予防効果は10.4%(Madhiet al.,Feb 2021)と南アフリカ株に対する有効性は低下しています。
★インドデルタ株、デルタ+株に関しての有効性はおそらく60%前後まで低下するといわれています。
モデルナ製ワクチン:mRNAワクチン
★4週間の間隔で2回接種。効果は94%。南アフリカ変異株に対して中和活性の低下があるが、ある程度効果はあるとされている。2021年3月から6か月〜12歳未満の子供に試験開始している。また、南アフリカ変異株をターゲットとした改変ワクチンの試験を2021年3月から開始。
米バイオ製薬モデルナは4月13日、開発した新型コロナウイルスのワクチンについて、2回目の接種から半年後の有効性が90%以上だとする臨床試験(治験)の分析結果を発表した。重症化の予防効果は半年後に95%以上だった。
★大型集団接種場、職域接種会場等でモデルナ製ワクチンが採用ています。
Johnson&Johnson製ワクチン:アデノウイルスベクターワクチン
★1回接種。米で有効性72%、ラテンアメリカでは64%、南アフリカで64%とされ、南アフリカ変異株に対する有効性が低下しているが、重症化の予防効果は85%で重症化予防に有効。
米食品医薬品局(FDA)と疾病対策センター(CDC)は4月23日、接種後に血栓が生じる症例が報告されたため米国で使用が一時中止されているジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンについて、接種再開を認めた。接種による利点がリスクを上回るとして、同日開かれたCDCの諮問委員会が使用再開を勧告したのを受けた措置。CDCが23日に公表した資料によると、21日までに同社製ワクチンを798万人が接種し、血小板の減少を伴う血栓が15人にあらわれた。いずれも女性で、このうち3人が死亡した。
塩野義製薬製ワクチン:遺伝子組替えタンパクワクチン
現在、国産ワクチンとして開発中のものですが、「遺伝子組み換えたんぱくワクチン」と呼ばれるタイプで、ウイルスのたんぱく質の一部だけを人工的に作って投与し、体の中で抗体を作り出します。アフリカや東南アジアで主に治験を予定しています。国内でも千例規模の治験を検討しています。これを踏まえ、一定の条件を満たせば承認を受けられる国の「条件付き早期承認制度」が適用されれば「年内の実用化が可能」としています。毎年6000万人分の供給が可能と言われており、ファイザー、モデルナ製ワクチンの供給が十分でなくなった時に非常に期待されています。また、デルタ変異株に対して、高い有効性を示す事が今後の治験で期待されています。