コロナ後遺症と漢方治療に関して2021年5月講演した内容です。

 

いわゆるコロナ後遺症で苦しんでいる方も多くいらっしゃいます。

 

参考にしてください。

 

 

 

これらは新型コロナウイルスで起こるとされる後遺症の症状です。

 

 

また、下の論文はフランスの患者での後遺症のものです。

 

 

では日本での調査ではどうでしょうか?

 

 

ここで不思議に感じたのが脱毛です。コロナ後遺症の患者で割と多くの方が話されます。実際にメカマクリニックで受診した患者でも、脱毛が発症した方がいます。ただ、不思議に思いませんか?コロナウイルスは元々風邪ウイルスです。しかし今まで風邪にかかり脱毛をした経験や周囲の方でそのような方はいましたか?新型コロナウイルスはそういう意味でも、普通の風邪ウイルスと違うようです。また、記憶力や集中力の低下も同様に不思議な気がします。

 

 

 

脱毛は発症後30日経過し、発症後120日近くみられるケースが多いようです。脱毛が改善したら、それは良いですが、必ず元に戻るとも限りません。特に元々頭髪の薄い方は気になると思います。

 

 

ここで漢方の話に入りますが、漢方では気・血・水という考え方があり、患者のその人に合った証を決めるものになっています。特にその中の血虚という証に注目をしました。

 

イラストは『絵で見る和漢診療学 医学書院』です。とても良い本で、漢方を勉強したい方は是非読んでみてください。

 

このイラストでみる限り、どうもコロナ後遺症の状態ととても重なります。

 

血虚スコア 参考までに血虚スコアといわれるものです。

 

コロナ後遺症の証とは?おそらく、血虚の証が関与していると考えています。血虚から頭皮の皮膚症状として脱毛症状や血虚が長くなることで、気虚も伴うのではないかと考えています。肺塞栓、脳梗塞など血栓のリスクが高くなる報告もあり、お血を伴うのか?

 

(気・血・水など漢方の基本的な考え方は今後HPにて述べさせていただきます。)

 

ではコロナ後遺症に何の漢方を選択するか?   です。血虚の代表薬には四物湯(地黄・芍薬・川?・当帰)その他 当帰飲子 ?帰膠艾湯血虚+気虚には十全大補湯 【四物湯+四君子湯(補気)+黄耆・桂皮】その他 帰脾湯や人参養栄湯血虚+お血の薬には当帰芍薬散 加味逍遥散があげられます。

 

一般的に当帰芍薬散、人参養栄湯は上気道炎後嗅覚障害に対する効果の報告も多くあります。

 

この中でも私はコロナ後遺症における気力の低下や記憶力の低下、脱毛などには十全大補湯をよく使用します。

 

コロナ後遺症の漢方治療基本は十全大補湯を使用、以下を症状でアレンジ?脱毛 十全大補湯 四物湯(若い女性)?倦怠感 十全大補湯 補中益気湯?嗅覚障害 当帰芍薬散(若年者オオスギは錠剤あり)、人参養栄湯(高齢者)?味覚障害プロマック+補中益気湯(倦怠感)、六君子湯(食欲低下)?呼吸困難感 半夏厚朴湯?記憶障害 加味帰脾湯?睡眠障害 酸棗仁湯(自律神経失調)、半夏厚朴湯(のどのつまり)?集中力散漫、Fog Brain 加味帰脾湯(不安感)、桂枝加竜骨牡蛎湯(ストレス)?頭痛 五苓散(天気で増悪)、釣藤散(緊張型に近い)、当帰芍薬散(月経時増悪、若い女性)

 

 

以下、十全大補湯の紹介です。十全大補湯の原典:『太平恵民和剤局方』男子婦人,諸虚不足,五労七傷,飲食進まず,久病虚損,時に潮熱を発し,気骨脊を攻め,拘急疼痛,夜夢遺精,面色痿黄,脚膝力無く,一切病後,気旧の如からず,憂愁思傷,気血を傷動し,喘嗽中満,脾腎の気弱く,五心煩熱するを治す。並に皆之を治す。

 

簡易訳男女ともに過労や病気により食欲が低下し体力が衰え、時々発熱し体中が痛く、夢精し、顔色が悪く、足の力がなく、病後に気力が以前のように回復せず、気分も憂鬱で気血が損なわれ、呼吸困難、咳や腹満があり、脾や腎の働きが衰え、全身煩わしくもだえるような状態を治す。

 

これって、まさしくコロナ後遺症のような症状を書いていると思いませんか?西洋医学では直せないようなことも、東洋医学的な視点で考えると、不思議と見えてくるものがあります。

 

ぜひ漢方に興味がなかった方も参考にしてください。